リバースエンジニアリングの費用と納期 — 何で決まるか、見積りに何を送ればよいか

部品1点のCAD化にかかる時間(作業12〜48時間、納期2〜3営業日)、費用を決めるもの、支払い前に偏差レポートでモデルを確かめる方法、24時間以内の見積りに必要なもの。

English version →

PSH Designでは、スキャンデータから部品1点をCAD化するのにかかるのは、エンジニアの作業時間で約12〜48時間です。歯車で約12時間、中型の鋳物や機械加工部品で約16時間、金型一式で約48時間。年間およそ300点の平均では1点あたり約10時間です。暦の上では、中型部品で通常2〜3営業日の納期です。費用はこの作業時間をもとに部品ごとに算出し、24時間以内にお見積りします。お見積りには、現物の写真数枚か2D図面があれば十分です。

測定会社の方が「リバースエンジニアリングとは何か」を尋ねることは、まずありません。すでにご存じだからです。実際に知りたいのは、もっと具体的なことです。この仕事をお客様から受けたら、納期はいつと約束できるのか。そして、利益はどれだけ残るのか。

この記事は、PSH Designが2009年から毎年およそ3,000時間こなしてきたリバースエンジニアリングの数字で、その問いにお答えします。順に、かかる時間、費用、支払い前にモデルの正しさを確かめる方法、そして見積りに送っていただきたいものです。

リバースエンジニアリングにかかる時間 — 部品の種類別

下の表はエンジニアの作業時間です。スキャンを開いてからファイルを書き出すまで、担当者が実際に手を動かす時間で、暦の日数ではありません。日数は後ほどご説明します。

部品の種類 標準的な作業時間 時間を左右するもの
歯車 約12時間 繰り返し形状。諸元から再構築
機械加工部品 約16時間 平面・穴・段差。素直なパラメトリック再構築
中型の鋳物 約16時間 抜き勾配、R、自由曲面
金型一式 約48時間 複数部品、パーティング面、キャビティ
全案件の平均 約10時間 年間およそ300点

この時間には、スキャンの確認、モデリング、スキャンとの偏差比較、ご指定形式での書き出し、そして通常は2D図面も含まれます。

時間を決めるのは大きさではありません。意外に思われるかもしれませんが、初めてのお客様がいちばん驚かれる点です。全長80メートルの船体のほうが、その何分の一かの大きさの複雑な金型一式より短い時間で済むことがあります。時間を決めるのは形状要素の数と、それらがどれだけ互いに依存しているかであって、何メートルあるかではないからです。船体は大きくても連続しています。金型は、どの面も向かい合う面と合っていなければなりません。

PSH Designが手がけた全長80メートルの船体:スキャンデータ、スキャン上に構築した外板サーフェス、スキャンとの偏差チェック
全長80メートルの船体。スキャン、サーフェス、偏差チェック。非常に大きいが連続した形状で、大きさだけでは作業時間は決まりません。
空冷エンジンシリンダーのリバースエンジニアリング4工程:現物、スキャンデータ、SolidWorksで再構築したパラメトリックソリッド、完成モデル
空冷エンジンシリンダー。左から現物、スキャン、SolidWorksのパラメトリックモデル、完成モデル。作業時間32時間。

実例:上のシリンダーは32時間かかりました。中型の鋳物の標準の約2倍です。大きな部品ではありません。時間がかかったのは、薄い冷却フィンが何枚も重なり、それぞれが下のフィンに沿いながら、ボアやポートフランジと位置が合っていなければならなかったためです。まさに、作業時間を決める「形状要素の相互依存」の典型です。SolidWorksのネイティブなパラメトリックモデルとして納品しました。

時間はどこに使われるか — 工程ごとに

時間の使われ方がわかれば、どこを短くできるかもわかります。

1. スキャンの受け取りと評価。エンジニアがデータを開き、欠け、反射の強い部分、スキャナが届かなかった穴、ノイズを確認します。スキャンの質が悪くても、まずはお送りください。どこまでできるかを正直にお伝えします。経験で補える部分は多くありますが、一度も測られていない領域を正しく作ることは誰にもできません。それは納品日ではなく、初日にお伝えすべきことです。

2. 位置合わせとメッシュのクリーンアップ。いつも過小評価される工程です。どれほど良いスキャンでも、鋭いエッジのノイズ、深いポケットの穴、治具から拾った余分な点が残ります。

3. 再構築方法と設計意図の決定。パラメトリックで作り直すのか、スキャンに沿う現物忠実型NURBSで作るのか。摩耗した部品なら、公称寸法で作るのか、今の状態で作るのか。この判断はソフトウェアではなくエンジニアが下すもので、モデルが生産に使えるかどうかを決めます。(二つの方法はスキャンデータのCAD化で解説しています。)

4. モデリング。時間の大半はここに使われます。

5. スキャンとの比較。モデルをスキャンに重ね、距離に応じて色分けします。詳しくは後述します。

6. ネイティブファイルと図面の書き出し。お客様の最終顧客が使うCADそのもの — SolidWorks、Creo、CATIA、NX、Inventor、Solid Edge — で再構築してお渡しします。STEPファイルだけではありません。2D図面はJISまたは御社規格に合わせます。(ネイティブが重要な理由はCADファイル形式の種類と選び方をご覧ください。)

作業時間は日数ではない — 実際の納期

測定会社にとって大切なのは、エンジニアの作業時間ではなく、お客様に約束できる日付です。

  • お見積りは24時間以内。
  • 中型部品は通常2〜3営業日で納品します(スキャンがそろってから)。
  • 日本との時差はわずか2時間。ハノイは日本より2時間遅いだけなので、ほぼ同じ業務時間でやり取りできます。午前中のご質問には午前中にお答えします。
  • お急ぎの案件も、日程が許す限り追加料金なしでお受けします。中型部品なら1営業日で仕上げられることも少なくありません。入札や、すでにお客様に約束した納期を追いかけているとき、私たちは御社と同じ側に立ちます。入札を勝ち取り、信用を守る早い納品は、私たちが取れる特急料金よりずっと価値があります。
  • 複数部品は並行して進めます。経験豊富なエンジニア12名の体制で、1日約10部品まで対応できます。10部品だからといって10倍の時間がかかるわけではありません。

作業が長引く6つの理由

17年以上の現場で学んだことです。多くは、早めに共有しておかなければ、どちらの側でも防げないものです。

1. スキャンの欠け。深いポケット、内径、治具に隠れた下面。欠けた領域ごとにエンジニアが形状を推定しなければならず、推定は測定より時間がかかります。

2. 光沢面や黒い面を、つや消し処理なしでスキャンした場合。構造化光やレーザーのスキャナは反射光に頼っているため、光沢面や黒い面ではノイズや穴の多いデータになり、メッシュのクリーンアップが増えます。スキャン前に一時的なつや消しスプレーを使えば、かかる手間よりずっと多くの時間が節約できます。

3. 出力形式の選び違い。現状の記録だけで足りる部品をパラメトリックで作れば、時間が無駄になります。逆に、現物忠実型NURBSを受け取った後で寸法を変えたいとわかれば、作り直しです。同じ部品なら、パラメトリックは現物忠実型NURBSより約25%長くかかるのが一般的です。設計意図を決め、公称寸法で作り直す必要があるためです。

4. ネガCADの抜き勾配とR。鋳物や成形品の抜き勾配は一般に1°〜3°、シボ面や深い壁ではそれ以上です。勾配が足りなかったり誤っていたりしても、画面上のモデルは正しく見えます。しかし、その型でできた部品は離型時にキャビティに張り付き、傷、不良、場合によっては金型の損傷につながります。トレー、リブの多いパネル、Rの多いベースなど、繰り返し構造を持つ部品ほどRの不具合が出やすくなります。

5. 最終顧客のCADに合ったネイティブファイル。CADごとに幾何カーネルが異なります。STEPのような中間フォーマットで自動変換すると、フィーチャーの履歴が失われ、面間のすき間、面の重なり、閉じていないソリッド、作り直したRがつながらない、といった「汚れた形状」が残りがちです。これは、最終顧客がファイルを開いて編集しようとしたときに初めて表に出る、見えない不具合です。PSH Designのエンジニアは、納品前にRや繰り返し面を整えるため、複数のCADを経由させることもあります。時間はかかりますが、かける価値のある時間です。(CADカーネルとは何かもご参照ください。)

6. 摩耗や変形のある部品。本当の問いは、その部品がかつてそうであった形で作るのか、今ある形で作るのか、です。一般的な機械部品で、摩耗した面をミクロン単位で写し取ってそのまま再生産しても、誰の役にも立ちません。必要なのは、もう一度製造できるモデルです。この判断には話し合いが必要で、その話し合いにも時間がかかります。

費用はいくらか、何で決まるか

PSH Designは固定の価格表を公開していません。これは意図的なものです。同じくらいの大きさの部品でも、作業時間が2〜3倍違うことがあります。一律の価格では、簡単な部品では御社が払いすぎになり、難しい部品では私たちが赤字になります。

価格は部品ごとに、見込みの作業時間をもとに算出します。つまり、上で挙げた「長引く理由」は、そのまま「費用が上がる理由」でもあります。あとは条件です。

  • 部品ごとに24時間以内にお見積り。
  • 最低発注数量なし。1点からお受けします。
  • 数量が多い場合は割引があります。
  • 最初の1点は当社負担でモデル化します。提案書ではなく、結果で判断していただくためです。
  • 日程が許す限り、特急料金はいただきません。
  • 月末締めで1か月分をまとめて請求し、お支払いは請求日から30日以内です。
  • 当社が行った作業には永久保証が付きます。新たな設計変更は新規の仕事としてお見積りします。

測定会社にとって本当の問いは、転売して利益が残るかどうかです。一つの目安として、当社の単価は御社が外部の設計者を雇う場合の単価の約70%です。しかもこれは、一人前に育てるまでの3〜5年と、ときどきしか来ない仕事のために年中払い続ける少なくとも2本のCADライセンスを数える前の比較です。(詳しい計算はCADを社内で持つか、外注するかにあります。)

支払い前に、モデルの正しさをどう確かめるか

PSH Designが納品するモデルには、すべて偏差レポートが付きます。御社のスキャンと当社のCADを重ね、両者の距離で色分けしたものです。緑はスキャン上、暖色はスキャンより外側、寒色は内側を示します。

レポートでわかるのは次の3つです。

  • 部品全体をひと目で — どこが、どちらにずれているか
  • 任意の点での正確な値
  • 重要な形状を通る断面

御社が実物の部品を検査するのと同じ見方なので、新しく覚えることはありません。

PSH Designがすべてのモデルに付ける偏差レポート:部品全体のカラーマップ、点ごとの偏差値、スキャンとの断面チェック
すべてのモデルに付く偏差レポート。部品全体のカラーマップ、指定した点での正確な値、重要な形状を通る断面。

数値の目安として、パラメトリックでの再構築は通常スキャンに対して約0.1mm以内、スキャンに沿う現物忠実型NURBSは約0.025mm、きれいで精度の高いスキャンなら0.01mmまで届きます。パラメトリックの偏差は意図したものです。モデルは表面の摩耗の一つひとつではなく、設計寸法に従うからです。

そして請求は月末締め、お支払いは請求日から30日以内なので、お支払い期日のずっと前に、レポートはお手元にあります。

早く見積りを受け取るために送っていただきたいもの

見積りにスキャンは必要ありません。現物をいくつかの方向から撮った写真数枚、または2D図面があれば、作業時間をかなり正確に見積もれます。スキャンは、仕事が決まってからで構いません。

より正確な見積りと、より早い納品のためには、次もお送りください。

  1. 欠けのないスキャン(基準面や、届く範囲で内側のポケットも)
  2. 最終顧客が使っているCADとそのバージョン
  3. 重要な形状と公差 — 合わせ面、位置決め穴など、ずれてはいけない箇所
  4. お持ちであればCMMの測定点や古い図面。当社はスキャンなしで、CMMの点だけから完全なパラメトリックモデルを作れます
  5. 似た部品はまとめて1ロットに。同じ系統の2点目は、ほぼ必ず1点目より早く仕上がります
CMMの断面測定点だけで取得した銃床と、その点からPSH Designが作成したパラメトリックCADモデル
スキャンなしで。CMMの断面測定点だけから、パラメトリックモデルとして再構築した銃床。

最初の見積りは見積りである — 私たちはそう扱います

最初の1点の見積りは、誰もまだデータを開いていない段階で作るものです。それは見積りであり、私たちもそのように扱います。実際に少し多く時間がかかったとしても、改めて価格を上げることはしません。取引の関係は、1点の部品で決まるものではないからです。

私たちがより大切にしているのは、作業時間を読みやすくすることです。何件かご一緒すると、ほとんどの測定会社は新しい部品を見ただけで、数時間の誤差でどれくらいかかるかを判断できるようになります。そこから先、見積りは交渉ではなく、形式的な手続きになります。

米国の測定会社2社とは、2014年と2015年から途切れずに仕事を続けています。カナダ、ドイツ、スウェーデン、オーストリア、オーストラリアの測定会社も支援しています。日本語でのご連絡と書類のやり取りにも対応します。

お受けしない仕事

はっきり申し上げておくほうが、双方の時間の節約になります。

  • 趣味の3Dプリント向けの、メッシュからの自動変換。機械エンジニアを必要としない仕事で、当社より安くできるツールがあります。
  • 関係の続かない、単発のフリーランス的な仕事。
  • 当社は長期のB2Bパートナーとして仕事をします。明確な請求、月末締め翌月払い(請求日から30日以内)、永久保証、そしてすべての案件で最初からNDA — ご依頼いただく必要も、追加の手続きもありません。
  • スキャンは通常、御社側で。当社もハノイにスキャナを持ち、スキャン技術を理解していますが、海外の測定会社にとっては、現地や近くでスキャンするほうが、部品をハノイに送って返送するより早く安く済みます。例外は、返却不要の品を大量にスキャンする場合です。

よくあるご質問

部品1点のリバースエンジニアリングにどれくらいかかりますか?

部品の種類により、エンジニアの作業時間で約12〜48時間、平均は約10時間です。中型部品はスキャンがそろってから通常2〜3営業日で納品します。

特急対応に追加料金はかかりますか?

かかりません。日程が許す限り、入札や、すでにお客様に約束した納期に間に合うよう作業順を組み替え、同じ価格で対応します。中型部品なら1営業日で仕上げられることも少なくありません。

大きな部品ほど時間がかかりますか?

必ずしもそうではありません。作業時間を決めるのは物理的な大きさではなく、形状要素の数とその相互依存です。全長80メートルの船体が、その何分の一かの大きさの複雑な金型一式より短時間で済むこともあります。

パラメトリックは現物忠実型NURBSより時間がかかりますか?

はい、一般に約25%長くかかります。パラメトリックでは設計意図を決めて公称寸法で作り直す必要があり、現物忠実型NURBSは測定した形状に沿って作るためです。

スキャンなしで見積りできますか?

できます。現物の写真数枚か2D図面があれば見積りでき、24時間以内にお返しします。スキャンは仕事が決まってからお送りください。

2D図面は見積りに含まれますか?

通常は含まれます。2D図面は見積りの作業時間に含まれ、JISまたは御社規格に合わせて作成します。

支払い前にモデルを確認できますか?

できます。すべてのモデルに、スキャンと比較したカラーの偏差レポート(全体マップ、点ごとの値、断面)が付きます。請求は月末締め、お支払いは請求日から30日以内なので、支払い期日の前にレポートをご確認いただけます。

見積りより時間がかかった場合はどうなりますか?

お見積りした価格のままです。最初の見積りは見積りであり、少しの超過はPSH Designが負担します。

PSH Designのリバースエンジニアリング

こんな方に:測定・CMM・3Dスキャンの会社の方、スキャンやCMMのデータをネイティブのパラメトリックCADにしたい設計・生産技術部門の方。向いていない方:3Dプリント用の簡易メッシュや、エンジニアリングの意図を伴わないモデリングだけが必要な方。

この順番でお読みください

  1. スキャンデータのCAD化 — 作り方と納品形式
  2. CADファイル形式の種類と選び方
  3. CADを社内で持つか、外注するか
  4. 測定会社のためのリバースエンジニアリング外注
  5. リバースエンジニアリング受託サービス

言葉ではなく、仕事で判断してください。スキャンデータ、CMMレポート、図面のどれかで1部品をお送りいただければ、当社負担で作成します →

執筆者

ブイ・ゴック・フーン(Bui Ngoc Phuong)

PSH Design 創業者 LinkedIn →

PSH Design

2009年創業。クラスAサーフェシング、リバースエンジニアリング、CAD設計、コンセプトデザインを、自動車・航空宇宙・医療・産業機械の分野に、OEM基準の品質でお届けしています。

この種の仕事は、説明するより見ていただくほうが早く伝わります。フォームは英語ですが、日本語でご記入いただけます。

まず1部品から →

Hotline
Hotline
WhatsApp
WhatsApp
Viber
Viber