CADファイル形式の種類と選び方 — 送る形式、受け取る形式

ネイティブ、中間フォーマット、メッシュ。主なCADファイル形式18種の違いと、リバースエンジニアリングで送るべき形式・受け取るべき形式を、年間約300部品をCAD化する立場から解説します。

CADファイルは、3Dモデルや図面を保存するファイルです。形式は数百種類ありますが、ほぼすべてが3つの系統に分かれます。ネイティブ形式は特定のCADシステム専用で、モデルの作成履歴を持ちます。中間フォーマット — STEP、Parasolid、IGES — はほとんどのCADで開けますが、残るのは形状だけです。メッシュ形式 — STL、OBJ、PLY — は三角形の皮であり、ソリッドではありません。どれが必要かは、受け取った人がそのファイルで次に何をするかで決まります。

CADファイル形式の解説記事の多くは、一覧表で終わります。この記事はもう一歩進めて、どの形式を送るべきか、どの形式を求めるべきかを、スキャンデータ・CMMデータ・図面から年間約300部品をCADに作り直している立場からまとめます。

CADファイルの3つの系統と、それぞれが持つ情報

拡張子は数百ありますが、本当に大事な問いはいつも一つです。そのファイルには、モデルがどう作られたかという情報がどれだけ残っているか。

系統 例 持っている情報 失う情報 使う場面
ネイティブ .sldprt · .prt · .CATPart · .ipt · .par 形状、フィーチャーツリー、拘束、駆動寸法 変換しなければ、そのCADシステムでしか開けない 受け取った人が設計を編集し続けるとき
中間フォーマット(B-rep) STEP · Parasolid · IGES · ACIS · JT 正確な形状(ソリッドまたはサーフェス) フィーチャーツリー、拘束、設計意図 異なるCAD間の受け渡し、加工、保管
メッシュ STL · OBJ · PLY · 3MF 三角形で近似した形状 正確な面、ソリッド、編集可能な寸法 3Dプリント、表示、スキャンデータ
点群 E57 · ASC / XYZ 測定した各点の座標 点以外のすべて 3Dスキャナーの生データ

最も起こりやすい誤解:同じ部品のメッシュファイルとCADファイルは、画面上ではまったく同じに見えます。一方は表面の写真にすぎず、もう一方は編集も加工も検査もできるモデルです。

同じハウジングの2つのファイル系統:スキャンデータのメッシュと、PSH Designが作り直したCADモデル
同じハウジングを2つの系統で。左はスキャンデータ — メッシュで、編集できる部分はありません。右は作り直したCADモデル — リブ、穴、フィレットの一つひとつが変更可能なフィーチャーです。

主なCADファイル形式の一覧

形式 拡張子 系統 所有者/規格 作成履歴 公差情報(PMI)
SolidWorks .sldprt .sldasm ネイティブ Dassault Systèmes あり あり
Creo .prt .asm ネイティブ PTC あり あり
NX .prt ネイティブ Siemens あり あり
CATIA V5 .CATPart .CATProduct ネイティブ Dassault Systèmes あり あり
Inventor .ipt .iam ネイティブ Autodesk あり あり
Solid Edge .par .asm ネイティブ Siemens あり あり
AutoCAD .dwg ネイティブ Autodesk — —
STEP .stp .step 中間 ISO 10303 なし 完全なセマンティックPMIはAP242のみ
Parasolid .x_t .x_b 中間 Siemens なし なし
IGES .igs .iges 中間 米国規格 · 1980年に1.0版、最終版は1996年の5.3 なし なし
ACIS .sat .sab 中間 Spatial(Dassault Systèmes) なし なし
JT .jt 中間 Siemens · ISO 14306 なし あり
DXF .dxf 中間(2D) Autodesk なし —
STL .stl メッシュ 3D Systems、1987年 なし なし
OBJ .obj メッシュ Wavefront なし なし
PLY .ply メッシュ スタンフォード大学 なし なし
3MF .3mf メッシュ 3MF Consortium · ISO/IEC 25422:2025 なし なし
E57 .e57 点群 ASTM E2807 なし なし

STEP

異なるCADシステム間でモデルを受け渡すとき、最も広く使われる形式です。STEPにはいくつかの「アプリケーションプロトコル」があり、AP203とAP214は今もよく見かける旧版、AP242が現行版です。AP242は旧版の2つを統合し、機械が読める公差や注記 — 完全なセマンティックPMI — を加えました。中間フォーマットを一つだけ選ぶなら、STEP AP242です。

Parasolid

Parasolidはファイル形式であると同時に、CADシステムの中で形状を計算するカーネルでもあります。SolidWorks(デスクトップ版)、NX、Solid EdgeはParasolidの上に作られています。一方、CATIA V5はDassaultのCGM、CreoはPTCのGranite、InventorはAutodeskのShapeManagerで動いています。ParasolidファイルがSolidWorks・NX・Solid Edgeの間では問題なく移せても、カーネルの違うシステムでは不具合が出やすいのはこのためです。カーネルがどれほど重要かは、CADカーネルとは何かで詳しく解説しています。

IGES

1980年に生まれ、最終版が1996年に出た形式で、今も慣習で指定されることが多くあります。IGESは一つの閉じたソリッドではなく、トリムされた個別のサーフェスとして形状を記述することが多いため、開くと面の間に隙間があり、修正が必要になりがちです。ほぼすべての用途で、STEPに置き換わっています。

STL

最も一般的なメッシュ形式であり、当社にお客様から送られてくる形式でも一番多いものです。STLが持つのは三角形だけです。単位はなく、標準仕様には色もなく、ソリッドでもありません。幅100のファイルが100mmなのか100インチなのかは、送る側が伝えない限り分かりません。

E57

点群と画像を含む3Dイメージングデータのための、メーカーに依存しない形式で、ASTM E2807として規格化されています。お使いのスキャナーがE57を出力できるなら、生データを送る最もきれいな方法であることが多いです。

形式を変換すると失われるもの

変換のたびに、情報を失う可能性があります。特に失われやすいのは次のものです。

  • フィーチャーツリーと拘束。元のシステムの外に出ると、モデルは「履歴のないソリッド」になります。面を押したり引いたりはできても、駆動寸法は残りません。作り直したモデルが実際に使われるかどうかがここで決まる理由は、スキャンデータのCAD化で解説しています。
  • 単位。STLには保存されません。
  • 公差と注記(PMI/幾何公差)。完全に持てるのはSTEP AP242、JT、ネイティブ形式だけです。
  • 色、レイヤー、フィーチャー名。
  • 閉じたソリッド。CADシステムごとに幾何公差が異なります。カーネルの違う2つのシステムの間でモデルを移すと、一方でぴったり合っていた面が、もう一方では隙間や細い面になって開くことがあります。

当社に送っていただく形式:リバースエンジニアリングの入力

お客様から送られてくる形式の、ほぼすべてに対応しています。ただ、最初から適切なものを送っていただければ、確認のやり取りが一往復減ります。

お手元にあるもの 送っていただくもの あれば一緒に
3Dスキャンデータ メッシュ(STL、PLY、OBJ)または点群(E57、ASC) 現物の写真
CMMデータ 測定レポートと、出力した点データ 元の図面(残っていれば)
図面だけ PDF 写真、外形寸法
現物と合わなくなった古いCAD 古いCADと新しいスキャンデータの両方 部品に加えた変更のメモ

見積の前に、必ず次の4点を確認します。

  1. ファイルの単位
  2. 座標系とデータム — 部品の取付位置、基準になる面
  3. 機能面はどれか — 合わせ面、シール面、位置決め穴。鋳造や加工の跡にすぎない面はどれか
  4. エンドユーザーが使うCADシステム — 納品形式がそれで決まるため
PSH Designが作り直す前の、大型鋳造部品の3Dスキャンデータ
大型鋳造部品のスキャンデータ。形状のすべてがここにあります — それでも、まだ一つの面も編集できません。

スキャンだけが入口ではない:CMMの点データからも作れます

日本の測定現場では、非接触スキャナーが広まるずっと前からCMMで部品を測ってきた会社が多く、メッシュよりもCMMの点を信頼する方も少なくありません。その判断は正しいものです。CMMの点は通常スキャンの点より高い精度で測られ、しかも測定者が「ここが重要」と判断した位置にあります。

CMMの点データだけで、スキャンなしでも、完全なパラメトリックモデルを作れます。CMMで測った断面や輪郭がスケッチになり、スケッチがフィーチャーになり、ほかの案件と同じようにフィーチャーツリーを持つネイティブモデルとして納品します。測定会社からよくいただく仕事です。

送っていただくもの:出力した点データ(テキスト/CSVの点ファイル、またはIGESの点)、測定レポート、そして断面を取った位置と使ったデータムが分かるスケッチか写真。重要な形状が断面から漏れていれば、部品がまだ御社の定盤の上にあるうちに、見積の前にお伝えします。

CMMの断面点だけで記録された銃床と、その点群からPSH Designが作成したパラメトリックCADモデル
スキャンを使わず、CMMの断面点だけから作り直した銃床。すべての断面をCMMで測り、その点からパラメトリックモデルを作成しました。

求めるべき形式:スキャンデータからCADモデルを受け取るとき

正しい問いは「どの形式が一番良いか」ではなく、「受け取った人は、このファイルで次に何をするのか」です。

次に行うこと 求める形式 理由
設計を変更する 変更する人が使うCADのネイティブ フィーチャーツリーと駆動寸法が残る
NC加工/CAMプログラミング ネイティブ、またはParasolid/STEP CAMには正確な形状が必要。小さな変更が出たときはネイティブが楽
金型・治具の設計 ネイティブ 抜き勾配、収縮、パーティングラインを加えるため、編集できることが必須
新しいスキャンとの比較 STEPと偏差レポート 基準形状があれば足りる
3Dプリント STLまたは3MF プリンターはメッシュを読む
長期保管 STEP AP242とネイティブ STEPは何年後でも開け、ネイティブは編集できる

当社のルール:納品はエンドユーザーが使うCADシステムのネイティブで、STEPを添えます。ネイティブ納品に対応しているのは、SolidWorks、Creo、CATIA、NX、Inventor、Solid Edge、AutoCAD、Revitの8システムです。2D図面はJIS、ASME、DIN、またはお客様の社内規格で作成します。

PSH Designが一つのスキャン部品から作成した3種類の出力:パラメトリックソリッド、ハイブリッドサーフェス、現物忠実型NURBSモデル
一つのスキャン部品から、3種類の出力:パラメトリックソリッド、ハイブリッドサーフェス、現物忠実型NURBSモデル。どれを求めるべきかは、そのファイルで次に何をするかで決まります。

なぜ、すべての会社がネイティブで納品できるわけではないのか

多くのお客様が知らないこと、そして当社が最もよく目にする誤解がこれです。ネイティブファイルが何かがはっきりしない、あるいは自社のCADシステムのネイティブで受け取れることを知らない。スキャンデータから作り直したものは、STEPで届くものだと思われていることがよくあります。

そうである必要はありません。ただし、どの会社にもできることではありません。

最初からそのシステムで作られたように見えるネイティブファイルを納めるには、作る人が二つのものに習熟している必要があります。リバースエンジニアリングソフトと、納品先のCADシステムそのものです。形状の塊を読み込むだけでなく、そのシステム自身のフィーチャーでモデルを組み立て直せるほど深く。

簡単に言えば、部品を作り直す人は、元のCADファイルを作った技術者と同等以上のレベルで、その形を再現できなければなりません。いわば設計の時をさかのぼり、元の設計者の席に座って、その人が作ったとおりに部品を作ることです。

理由はカーネルにあります。リバースエンジニアリングソフトと納品先のCADシステムが同じカーネルを使うことはほとんどなく、カーネルごとに幾何公差が違います。モデルを一方から他方へ移すと、形状要素の間のわずかなずれがエラーになります。部品が複雑で要素が多いほど、エラーは増えます。

最もよくあり、最も想像しやすい例が、繰り返し形状を持つ部品のフィレットのエラーです。トレイ、板金パネル、樹脂部品、底面に多数のフィレットを持つ鋳物。ほぼ同じフィレットが何十も連なり、一つでもわずかにずれれば、その後のフィーチャーがすべて壊れます。

こうした部品では、複数のCADシステムの間でモデルを行き来させることがあります。要素、フィレット、繰り返しの面を、それが一番得意なシステムで先に整理し、最後に納品先のシステムで仕上げる方法です。これが成り立つのは、一人の技術者がリバースエンジニアリングソフトと複数のCADシステムを深く理解し、本格的なサーフェスモデリングの経験を持っている場合だけです — 当社のクラスAサーフェシングを支えているのと同じ技術です。工程ごとに三人で分担すれば、エラーはちょうど受け渡しの箇所で起きます。

繰り返しのリブ、ボス、フィレットを持つソリッドCADモデルとしてPSH Designが作り直した大型鋳造部品
同じ鋳造部品をソリッドとして作り直したもの。繰り返しのリブ、繰り返しのボス、何十ものフィレット — リバースエンジニアリングソフトからCADへ移すとき、真っ先に壊れる形状です。

ファイルの受け渡しでよく見る3つの失敗

1. ネイティブで受け取れることを知らない。上で述べたとおりで、3つの中で最も高くつく失敗です。お客様がSTEPから自分で履歴を作り直すか、誰も編集できないモデルを使い続けることになります。

2. 編集できるモデルを期待してSTLを送るのに、それを伝えない。STLはリバースエンジニアリングの出発点として優れています。しかし、どのネイティブシステムで、どの公差で、どの面が機能面なのかが分からなければ、作る側は推測するしかありません。

3. STEPを受け取り、自動フィーチャー認識で履歴を「復元」する。単純な部品では便利なツールです。しかし複雑な部品では、完全に見えて隠れたエラーを抱えたフィーチャーツリーができます。そのエラーが表に出るのは、誰かが寸法を変えてモデル全体が崩れたとき — たいていはエンドユーザーのところです。

当社のリバースエンジニアリングは、2009年から年間約300部品・約3,000設計時間。パラメトリックで作り直したモデルはスキャンとの差が通常約0.1mm、スキャンに忠実に沿うサーフェスモデルは約0.025mmです。扱ってきた部品は数ミリから80メートルまでです。

よくある質問

CADファイルとは何ですか?

CADソフトウェアで作成した3Dモデルや2D図面を保存するファイルです。形式によって、形状だけを持つものと、形状に加えて作成履歴・寸法・公差を持つものがあります。

最も一般的なCADファイル形式は何ですか?

異なるCADシステム間の受け渡しではSTEP、スキャンデータと3DプリントではSTLです。最も一般的なネイティブ形式は業界によって異なります。

STEPとIGES、どちらを使うべきですか?

ほぼすべての場合でSTEPです。IGESは個別のサーフェスとして記述されることが多く、開くと隙間が出がちです。STEPは閉じたソリッドを記述でき、AP242は完全なセマンティックPMIも持てます。

STLファイルを編集可能なCADモデルに変換できますか?

できますが、ワンクリックではありません。自動変換で得られるのは、メッシュを包んだサーフェスです。編集できるパラメトリックモデルは、部品の働きを理解した人が、機能面・データム・公称寸法を決めながら作り直す必要があります。それがリバースエンジニアリングです。

スキャンなしで、CMMデータからCADモデルを作れますか?

作れます。重要な形状をすべて断面がカバーしていれば、CMMで測った断面点だけで完全なパラメトリックモデルを作成できます。出力した点データ、測定レポート、断面を取った位置のメモを送ってください。

SolidWorksのファイル形式は何ですか?

部品は.sldprt、アセンブリは.sldasm、図面は.slddrwです。SolidWorksのデスクトップ版はParasolidカーネルで動いています。

STEPファイルは編集できますか?

限られた範囲でできます。STEPは履歴のない形状として開くため、面を直接押したり引いたりはできますが、寸法を一つ変えてモデル全体を自動更新することはできません。

PSH Designのリバースエンジニアリング

こんな方に:測定・CMM・3Dスキャンの会社の方、スキャンやCMMのデータをネイティブのパラメトリックCADにしたい設計・生産技術部門の方。向いていない方:3Dプリント用の簡易メッシュや、エンジニアリングの意図を伴わないモデリングだけが必要な方。

この順番でお読みください

  1. スキャンデータのCAD化 — 作り方と納品形式
  2. CADを社内で持つか、外注するか
  3. 測定会社のためのリバースエンジニアリング外注
  4. リバースエンジニアリング受託サービス

言葉ではなく、仕事で判断してください。スキャンデータ、CMMレポート、図面のどれかで1部品をお送りいただければ、当社負担で作成します →

執筆者

ブイ・ゴック・フーン(Bui Ngoc Phuong)

PSH Design 創業者 LinkedIn →

PSH Design

2009年創業。クラスAサーフェシング、リバースエンジニアリング、CAD設計、コンセプトデザインを、自動車・航空宇宙・医療・産業機械の分野に、OEM基準の品質でお届けしています。

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